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上州と武州の麗人 上武大橋

上州と武州の麗人 上武大橋 1012

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橋の向こうの五十景
上武大橋

□上州と武州の麗人 上武大橋 1012


[時空の暦] 2010年(平成22年)12月

その橋は、群馬県伊勢崎市と埼玉県深谷市を繋ぐ県道14号線の橋梁部分です。橋の下を流れる川の名は、古くから板東太郎の愛称で知られる利根川。その長さは322キロメートルあり、日本で二番目を誇る第一級河川です。広々とした関東地方を、ほぼ北から東に流れ太平洋に向かいます。

その橋の名前は上武大橋。完成したのは1934年(昭和9年)10月。今から87年前なので上武大橋は、いいえ「麗人」は数え年で88歳の米寿を迎えた事になります。遡る3年前の2018年(平成30年)10月に84歳で新しい上武大橋に架け替えられ、長い期間の役目を終え一つの歴史の幕が閉じられました。

それは、約90年前の土木・建築に於ける一大事業です。重機も充実していない頃の大変な作業だったでしょうが、立派な出立ちを仰ぎ見れば、橋を造り、道を造った彼らの誇りとプライドを感じます。県道14号線の群馬県伊勢崎市境平塚と埼玉県深谷市中瀬を結んでいる、片側1車線の自動車専用舗装道路橋です。

その橋の形式は中央径間部分が鋼トラス橋(24スパン。左岸から鋼桁5連+曲弦ワーレントラ ス10連+鋼桁9連)です。中央の10連曲弦部分は、三角形の部分に垂直鋼材で補強しているのが見られます。橋桁両端の側径間部分はゲルバー桁形式で建造。それらを支える橋脚部分はコンクリート製です。なお、ゲルバーは、工法を考案したドイツの建築技師ハインリッヒ・ゲルバーの名前から由来しています。

その優美なカーブは曲がり部分を直線の鋼材で構成していて、上武大橋を力強く魅力的に見せている最強のアクセントになっています。
かかあ天下の上州(じょうしゅう)と武州(ぶしゅう)の麗人。スカイブルーが美しい上武大橋。

上流側に隣接して歩行者・自転車用の側道橋があります。上武大橋と同じくスカイブルーです。

   * * *

上武大橋の架け替え工事は埼玉側から始まりました。ここから新しい上武大橋の扉が開きました。現在地は県道14号伊勢崎深谷線。上武大橋の上。2021年10月現在、もう見ることは出来ません。心の中の記憶を紐解くのみ。


□上武大橋 群馬県伊勢崎市・埼玉県深谷市 2021 october
□上州と武州の麗人 上武大橋
□上武大橋架け替え工事
□伊勢崎市・深谷市の上武大橋から
□撮影 2010年12月